コラム 2026年2月5日
腱板損傷と断裂
金孝燮
代表院長
腱板とは
腱板(rotator cuff)は肩関節を安定させる4つの筋肉と腱の複合体です。棘上筋(supraspinatus)、棘下筋(infraspinatus)、小円筋(teres minor)、肩甲下筋(subscapularis)から構成され、上腕骨頭を肩甲骨の関節窩に密着させて肩の安定した動きを可能にします。このうち棘上筋腱が最も弱く、損傷が最もよく発生します。
損傷のタイプ
- 腱炎(tendinitis):腱に微細損傷と炎症が生じた初期段階です。腕を上げる際に痛みがありますが、筋力は保たれています。
- 部分断裂(partial tear):腱の一部の線維が断裂した状態で、痛みとともに軽度の筋力低下が現れます。
- 完全断裂(full-thickness tear):腱が完全に断裂した状態です。断裂サイズが小さければ保存治療が可能ですが、大型断裂は手術的縫合が必要となる場合があります。
- 退行性 vs 外傷性:40代以降は自然な退行で徐々に損傷する場合が多く、転倒や重い物の挙上などの外傷で急性断裂が発生することもあります。
韓方治療
部分断裂までは韓方保存治療で十分な機能回復が可能であり、術後リハビリにも韓方治療は有効です。
- 薬鍼治療:蜂薬鍼(bee venom pharmacopuncture)と紫河車(じゃかしゃ)薬鍼を損傷部位に直接施術し、抗炎症と組織再生を同時に促進します。蜂鍼のメリチン(melittin)成分は強力な抗炎症作用を持ちます。
- 鍼治療:肩髃(けんぐう)、肩髎(けんりょう)、巨骨(こつ)など肩部経穴に上肢経絡の原穴(げんけつ)を配合します。
- 韓方薬:補気養血の十全大補湯に続断(しょくだん)、骨砕補(こつさいほ)など筋骨強化薬を加味し、腱の回復を促進します。
- 推拿(チュナ):肩関節のアライメントを整え、肩峰下空間を確保して腱への摩擦を減らします。
リハビリ運動プログラム
初期は受動的関節運動で柔軟性を維持し、痛みが軽減したらゴムバンドを使った内旋・外旋強化運動を開始します。無理なオーバーヘッド動作は避けつつ、完全な安静はかえって筋萎縮や癒着を招くため、痛みのない範囲での積極的リハビリが重要です。